
神奈川県川崎市は20日、心のバリアフリーを推進する体験型イベント『かわさきバリアクエスト』を川崎市役所本庁舎で初開催しました。障がいの有無にかかわらず、日常に潜む”バリア(困りごと)”を自分事として捉え、心のバリアフリーを推進するためのイベントです。

パラアイスホッケー銀メダリストの上原大祐氏が監修を務める本イベントは、「“多様な視点”でバリアを発見し、あなたの当たり前を見直してみよう」をテーマに、子どもから大人まで楽しみながら学べる多彩なコンテンツが用意されました。
探検や体験を通じて「社会のバリア」に気づく
メイン企画である『探検!バリアクエスト』では、参加者が車いすやベビーカーを使用し、市役所庁舎内を探検します。普段は意識しない段差や使いにくさを発見することで、「自分の当たり前が、誰かの困りごとかもしれない」という問いを体感する内容となっています。

また、『障害疑似体験』ブースでは、車いすでの簡易スロープの走行やアイマスクと白杖での歩行、義足体験などを実施。単に「大変だ」と感じるだけでなく、障がいの原因は個人ではなく社会や環境の側にあるという考え方を学ぶきっかけを提供します。
車いすで坂道と段差に挑戦

車いす体験では、実際に車いすの使い方やたたみ方なども学びます。

乗り方やハンドル操作などを教わりながら、実際に乗って移動します。

スロープでは、坂道や段差を体感。身体のバランスや力加減を考えながら車いすで坂道を上ります。

また、段差から降りる際は介助者が太ももの体重を使って支え、後ろ向きに降りていきます。

普段あまり知ることのない車いすの使い方、介助の仕方を実際に体験することができました。
義足でジャンプやランニングも

義足体験では、片足に義足をつけて歩いたり走ったりする体験ができます。

最初は歩きづらそうにしていた体験者たちも、少しずつ歩くスピードを速めたり、走ってみたり、ジャンプしてみたりと、義足を慣らしていきます。

足をつけた方の足に力を入れ、数秒間片足立ちする挑戦も。つま先ではなく、かかとに力を入れることで、しっかりと地面に力を入れて立つことができます。

アイマスクと白杖で「見えない世界」を知る

アイマスクと白杖を使って実際に歩いてみる体験も。目の見えない方、見えにくい方がどのように歩いているかを実際に伺いながら、数メートル歩きます。

白杖がコーンや段差、テーブルの角などに当たることで、道路上の障がい物を感知するほか、街中から聞こえてくる声や音などでも、方向などを判断しているといいます。

教えてくださった担当者さんは、「道路を通っていて、『この音楽が流れるお店の前に来たら、そろそろ右に曲がる』と目安になったり、コンビニの入り口の前ではコーヒーの香りがするので、どのあたりにコンビニがあるかも分かります」と、さまざまな五感も使いながら歩いていることを明かしてくれました。

普段使用している時計も、文字盤を触ることで時間を把握できるといいます。少しでも生活をしやすくするために、さまざまな工夫がなされています。
パラスポーツやアート体験も登場

その他にも、車いすバスケや、大学生が考案したオリジナル種目、年齢や国籍を問わず楽しめるeスポーツの体験も。
『ぷよぷよ』でeスポーツを体験

eスポーツ体験では、就労継続支援B型事業所『ONEGAME川崎貝塚』による、eスポーツ推進目的で開発されたゲーム『ぷよぷよ』の対戦にチャレンジ。一般の方が使用するコントローラーとは別に、手の不自由な方も操作できる『レバーレスコントローラー』(写真左)が用意され、好きな方のコントローラーでプレイできます。

『レバーレスコントローラー』はグリップ部分がなくすべてキーボードなので、複雑な操作が必要ありません。押すだけでゲームをプレイできます。

ゲームの画面も色弱の方のために色の補正がされており、プレイに支障がないように配慮されてます。

大人気ゲーム『ぷよぷよ』を通して、普段なかなかお目にかかることがない『レバーレスコントローラー』にも触れることで、障がいの有無や国籍なども問わず、誰もが一緒に楽しめることができるeスポーツを体感することができました。
廃材に絵を描いて新たなアートに

NPO法人studioFLATによるアートワークショップも行われました。

無印良品から提供された廃材のプラスチックケースに、参加者が自由に色を塗ったり絵を描いたりすることができます。

障がいのある・なしにかかわらず、イベント参加者と傷がい者がアーティストが協力して、ひとつの大きなアート作品を完成させます。
「多様な価値が交差する場」の理解を深める

監修を務める上原氏は、3大会のパラリンピックに出場した経験を持ち、現在はNPO法人D-SHiPS32の代表として活動しています。「当たり前のことが当たり前にできる社会にしたい」「誰もが夢を持って挑戦できる世の中にしたい」という上原氏の理念が、イベントの随所に反映されています。
川崎市は本イベントを通じて、「多様性を認め合い、支え合いながら、多様な価値が交差する場」についての理解が深まることを期待しています。
相手の視点に立って実際に体験することで”違い”を知り、知ることが気づきにつながる。皆さんも普段のちょっとした視点から、「当たり前が当たり前にできる社会」を意識してみてくださいね

